最低賃金額が変わります!~その影響~
平成25年10月19日より長野県の最低賃金時間額が700円⇒713円に改定されます。アルバイト等を使用している企業では、該当者がいるかもしれませんので注意が必要です。再度ご確認ください。
最低賃金が上がるということは、なんとなく労働者にとって有利なことと思われがちですが、必ずしもそうとはいえません。
完全市場に近い状態ならば賃金額は、この賃金で雇用したいという企業(需要)と、この賃金で働きたいという労働者(供給)のいわゆる需要と供給の曲線が交わる点で決定されます(モノの価格が決まるのと同じ理屈です)。ところが、その交差する均衡点より高い位置で賃金額が最低賃金として決定された場合はどうなるでしょう?当然賃金が高くなるので、働きたいという労働者は増加します。ところが、企業はそんな高い賃金では雇えないということで逆に需要は減少します。つまり均衡点では交わらないアンバランスな状態が発生するということです。このことは、実は失業率増加を意味します。企業は海外に生産拠点を移してしまうかもしれません。
経済学的には、政府はあまり労働市場に介入しない方がいいということになります。しかしながら、憲法の定める「健康的で文化的な最低限の生活」であったり、生活保護費とのバランスであったりと今まで様々な理由で最低賃金が引き上げられてきた経緯があります。それも必要なことではありました。ただ、5年前の長野県の最低賃金と比べて、物価はそれほど上昇していないなか最低賃金は5%近く引き上げられてきました。民主党が以前言っていた「最低賃金額1,000円」を本当に実現したとすれば、企業にとっても労働者にとっても多大な影響があることは間違いありません。