未経験者だからこそできること
LCC(格安航空会社)の先駆けともいえるサウスウエスト航空は有名です。10分ターン(到着してから再度飛び立つまでの時間「他の航空会社の1/4の時間」)や二次空港をつなげる「ポイント・トゥー・ポイント」など、まさに今までの常識を打ち破った画期的な取組でした。なぜこれらは実現できたのでしょう? 資金難と熾烈なライバル競争のなかで危機感が高かったということも挙げられますが、実は経営難のサウスウエストには幸いにも(?!)未経験者が多かったというのがその理由の一つです。なぜなら、経験ある長年業界の常識にとらわれた乗務員では、行動を起こす前に「10分ターン」など到底不可能と考えてしまっていたでしょう。
ドアサービスや雨の日の傘など、今までにないホスピタリティーで有名な長野市の中央タクシーも未経験者の採用に積極的でした。コストがかかっても2種免許のない方には、会社に入ってから免許を取らせる仕組みができています。その理由は、昔ながらのやり方や考え方にとらわれた乗務員では新たなサービスは提供できない、と考えたからです。また車買取専門店のガリバーは原則一般消費者には販売せず、オークションのみでの販売(B2B)という在庫を極力持たない経営で高収益を実現しました。しかしこれは、中古車業界で考えられないことでした。自店で販売すれば高く売れるであろう「おいしい車」もすべてオークションで販売してしまうのです。そういったおいしい想いをしたことがある経験者では出来ないことだったのです。
経験者は即戦力としては確かにいいでしょう。ただ、御社が今までにないサービスや革新、イノベーションを起こしたいと考えているならば、業界の常識にとらわれない新しい価値観をもった未経験者を採用することもいいかもしれません。