中小企業が活用できる種類株式
「種類株式」とは、様々な権利内容を付けた株式のことをいいます。種類株式を発行している中小企業はあまり見受けませんが、使い方次第では、ガバナンス上、効果的に活用できるケースもあります。今回はその中でも活用しやすい3つの種類株式についてご紹介します。
拒否権付種類株式
この株式は「黄金株」とも言われ、株主総会で決議された事項について、この黄金株を持っている株主が拒否をすることができるというものです。たとえ1株でも持っていれば効力を発します。後継者に普通株式を譲渡し、引退した後でも経験不足の2代目が何らかの判断ミスや暴走を起こさないとは限りません。そんなときに、この黄金株を1株でも先代の経営者が保有していればブレーキをかけることができます。
取得条項付種類株式
この株式は、一定の条件が発生した場合に、株主に対して株式の取得を請求することができる株式です。従業員に株を持たせているような場合で、従業員として在籍しているときはいいが、退職した後は株を返してもらいたいといった場合などに有効です。
属人的種類株式
この株式は、非公開会社のみが発行できる株式です。定款で定めることにより、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権について異なる取り扱いをすることができます。例えば、全員同額配当、逆に役員のみに配当、株主1人1議決権、役員のみに議決権など株式ごと異なった取り決めができ、その使い方は様々です。
種類株式は使い方によっては便利なのですが、その後の管理は煩雑になりがちです。また、株式平等の原則から外れてしまうため、少数の普通株主から不満が上がることもあります。導入については慎重にご検討ください。