昇給をどう決める??
この時期になると、新聞やテレビのニュースでも春闘ベースアップ〇〇円と、報道が盛んにされます。皆さんもその動向に注目してしまうと思いますが、なぜよその企業の給料がそんなに気になるのでしょう。それは、人が給料を絶対額ではなく、相対額で認識しているからです。
ある年収2,000万円の証券会社の社員が、上司に給料のことで不満を言いました。なぜ不満かと上司が尋ねると「隣の席の自分とたいして変わらない働きぶりの同僚が2,100万円もらっているからです」と答えました。
賃金格差の広がっているアメリカでは、日本よりもっと以前に会社役員の報酬を開示する制度ができました。開示するようにすれば、法外な役員報酬は要求しないだろうと期待してのことです。しかし、皮肉なことに、いまや従業員とCEOの給与格差は300倍以上と、開示する前の3倍にも広がってしまいました。開示されたことにより、マスコミがランキングを付けたことで、よそのCEOと比べ「もっともらってしかるべきだ」となってしまったのです。まさに「大金持ちが超大金持ちに嫉妬する」です。日本でも、それだけが理由ではないと思いますが、役員報酬開示以降、相対的に役員報酬は増えています。
話をもとに戻すと、給料が多いか少ないかは、その金額そのものではなく、周りとの比較により決定されるということです。絶対額ではなく、相対額で決まります。そう考えると「世間相場」は昇給する上で重要な指標となります。会社業績にかかわらず、世間相場と比較してあまりに低ければ、不満につながってしまいます。同業他社や同規模企業と比べて自社の賃金水準は適正か、社内での賃金バランスは釣り合っているかです。当然、昇給するためには、その原資が必要ですが「世間相場」もきちんと押さえておくことが大切です。