社長のための経理知識5 単純なB/S 分厚いP/L
含み資産を持ち、いざとなったら益出し、安定した損益計算を行なうことが最高の経営であった時代は、借金があっても土地、有価証券という「ダム」がいっぱいある分厚いB/Sが自慢でした。
今はその逆。
B/Sはお荷物、P/Lは足腰と呼ばれ、いかに荷を軽くして(つまりB/Sを単純化し)筋トレを積んだ筋肉質の足腰で(つまりP/Lを分厚く、収益力のある形とし)、変化の激しい時代に、スピードで対応していくかが勝負の分かれ目なのです。
ですから、そのような重たいB/Sは変化の激しい現代ではただのお荷物に過ぎません。そこで上場会社は一斉に遊休資産、寮、ときには本社などを売却したり、持ち合いしていた株を放出したりして、借入の返済に充て、キャッシュフローを確保し体質強化を図ってきました。
また損益計算においても、「過去の長い歴史」という理由や、「いつか芽が出る」という淡い希望で残しておいた不採算部門を、整理縮小し、また力を入れるべき部門に選択・集中したありったけの投資を行ない筋肉質経営にする努力を図ってきました。
痛みは伴ったものの、結果上場会社の損益状況は2005年を境にめっぽう良くなりました。
振り返って考えてみるに、これは本来中小企業の得意としていた経営です。すっかり十八番をとられた形となっていますが、御社の場合はいかがでしょうか。
B/Sは複雑で、重ったるくありませんか。
筋肉質な足腰をもったP/Lとなっていますか。
ちょっと乗り遅れてはいませんか。そう感じた方は、すぐに荷を軽くし、筋トレに励んでください。