会社の承継 その10 3つのテスト
いままで会社の承継が前提であるということで、シリーズを書いてまいりました。
しかし経済のグローバル化をはじめ、産業構造が変化する中で、衰退が避けられない事業も現実の問題として存在しています。厳しいことを言いますが、そんな中、はたして本当に会社を承継させるべきなのか、社長さまの心の中で、もう一回、会社の継続可能性をテストしてみることが重要かと思います。ただなんとなく、息子も他にやることもないし、今、商売を辞めれば多方面にご迷惑をかけるからといった流れの中で、安易に承継させることは、不幸せな10年後を招くことになりかねません。
そこで今回は、承継を考えるか否か、判断の拠り所を整理したいと思います。客観的かつ冷静に判断し、もし通過できないとなれば売却、廃業も一つの考え方でしょう。
第1のテスト:将来性のある事業か
後継者は、その事業で30年飯を食べていくことになります。ですから社長さまが今より30年若返ったとしたら、この事業をもう一回やる魅力があるかというテストです。もし魅力がないとすれば、後継者にその点よく話をして選択させないといけないでしょう。
第2のテスト:後継者としての器のある人財がいるか
第1のテストを通過したとして、次は後継者の器の問題です。社長様は自身の成長とともに事業を伸ばしてきており、自分の力量や経営手腕と事業の規模はバランスが取れているはずです。しかし多くの場合、後継者が引き継ぐ時点では、後継者にとって実力以上の事業を引き継ぐこととなります。ですから「潜在的」な器を判断する必要があります。
第3のテスト:会社は後継できる状態か
第2のテストを通過したとして、次は経営の仕組みの問題、経営支配権の問題、組織の問題、財務の問題など後継者にとって事業を承継する環境が整っているかという問題です。どうにも整えられないとなれば考えどころです。
(参考資料:社長の幸せな辞め方 アタックスグループ編著 かんき出版)