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月刊未来経営

会社の承継 23 勝敗は戦いの前に決まっている

前回に引き続き「孫子の兵法」の抜粋です。
前号では「戦わずして勝つ」のがもっとも上策と申し上げましたが、では戦わなくてはならなくなったときにどうするか。

孫子は「戦う前の準備」がいかに重要かを強調しています。
敗者は戦う中で、勝とうと努力をするけれども、勝者は勝てる態勢を作った後、もう半ば負けることが決まっている敵を相手にして容易く勝利を収めるというのです。
ビジネスでも同じく、無闇に競合とのバトルをスタートさせて、戦いのなかで勝利を収めようとするのは愚策であり、「成功しない方がおかしい」と思えるほど準備に準備を重ね、勝利が約束されている中で仕事をするのが成功の秘訣であるという意味でしょうか。

自分の戦略が良いか悪いかを判断するにあたり、「これがもし映画化されたら、面白いか」を考えてみるとよいでしょう、映画化されたらさぞかし面白いストーリーになりそうだという戦略ならば、諦めた方が良いと思います。映画や漫画はエンターテイメントですから、弱い主人公が、強力な敵に対して、知恵を絞り、命を賭けて、ギリギリの場面で逆転勝利を収めるから、痛快であり、劇的であり、映画となるわけですが、そのような勝利はめったに存在しません。映画のように運を天に任せて戦うなどという戦略はダメなのです。織田信長が戦略家として優れている点は、桶狭間での劇的な勝利の経験を勝ちパターンとせず、以後の戦いにおいては、絶対的な数的優位、火力優位を構築してから戦いを挑んでいることです。

「常にライバルは自分より頭が切れると考えよ」とは、GEドイツの会長ウォルター・ラタノ―の言葉です。競合の相手との戦いに備え、強みの部分に磨きをかけ、内部の体制を万全・周到に備え、組織全体が戦闘モードになって初めて勝者になれる権利を得るのです。

(参考文献:超訳 孫子の兵法 許成準)

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