会社の承継 25 強者の盲点
さて前回「狭く、濃く」強者の盲点をつき、一点突破を狙うのが後発弱者の戦法だと書きました。当然「狭く、濃く」強者に勝てるモノとなれば、自社が得意とするモノとなります。それが強者の盲点、弱点をつく商品・サービスそのものとなれば申し分ないのですが、残念なことに商品・サービスそのものでは強者と差別化しにくい場合もあります。その場合はどうしたら良いでしょうか。
切り口としてはいくつかあります。
例えば販売ルート、地域、スピード、付随サービス、顧客対応力などが考えられます。
ユニチャームと言えば、生理用品のトップメーカーですが、その昔はアンネがダントツ一位でした。後発にして弱者であるユニチャームは、アンネの販売力が及ばない地域や販売ルートに照準をあてました。地域では中国地方、販売ルートでは医療品系の問屋ではなく日用雑貨系の問屋に照準を当て、アンネを責めました。もちろん製品そのものの差別化についての努力もあったと思いますが、ユニチャームがアンネをひっくり返したのは、最後は販売ルートの差別化ではなかったかと思います。
時代とともに購買習慣も変化し、生理用品はわざわざ町の薬局で購入するものではなくなりました。アンネもあわてて日用雑貨系の問屋に入り込もうとしましたが、時すでに遅く入り込む余地はありませんでした。1961年に日本で初めて「使い捨て紙ナプキン」という非常に差別化された商品を世に出したアンネは、ついに1980年ライオンに吸収合併され、さらにライオンの生理用品部門は2002年ユニチャームに売却され完全消滅しました。
差別化された部分は、製品・サービスそのものに限ったことではありません。角度を変えて自分の強みが活かせる場所を探してみましょう。
(参考:ランチェスター戦略「一点突破の法則」福永雅文著)